4月3日(木)「北北西に進路を取れ」

北北西に進路を取れ」('59・米)監督:アルフレッド・ヒッチコック 脚本:ア−ネスト・レ−マン 撮影:ロバ−ト・バ−クス 音楽:バ−ナ−ド・ハ−マン 出演:ケ−リ−・グラント/エバ・マリ−・セイント/ジェ−ムズ・メイスン
★“サスペンスの神様”ヒッチコック映画のベスト作品としては、人によって「サイコ」であったり、「見知らぬ乗客」であったり、「めまい」であったりするのだろうが、この万人向けの面白さを持つ集大成的作品は、入門編としても最適であろう。キャプラという男と間違われて誘拐されてしまった広告マン、ロジャー・ソーンヒルは、謎の人物タウンゼントからある仕事への協力を要請される。そして、人違いが判明すると今度は泥酔運転に見せかけて殺されそうになる。窮地を脱したロジャーは、翌日、真相を確かめようと国連ビルへ赴くが、そこに現れたタウンゼントは全くの別人だった。そして、タウンゼントの背中にナイフが突き立てられ、容疑はロジャーにかかってしまう…。殺人容疑の汚名をかけられ、国際的な陰謀に巻き込まれる一人の男の奮闘を、圧倒的なサスペンスとアクションの畳みかけで見せる極上のエンタテインメント。<allcinema>

ヒッチコック氏の劇場用映画は一度見ると興が冷めてしまって、二度三度と見直す気にはなれない。テレビの「ヒッチコック劇場」が楽しめたのは、当時録画装置などなかったために一度限りの視聴であったからだろう。筋立ての仕掛けに力を注ぐヒッチコック氏の映画作りは、どうしても登場人物が類型的になってしまって、キャラクタ−の厚みと魅力に欠ける。この映画のグラントにしても、慣れないスパイ騒動に巻き込まれて意に反する大活躍をするのだが、ラストのラシュモア山でのハラハラさせるシ−ンも、“嘘だろ!・・・”としか思えないのである。呑気呆亭