1月23日(木)「地下水道」

地下水道」('56・ポ−ランド)監督:アンジェイ・ワイダ 原作・脚本:クエルジ−・S・スタビンスキ− 撮影:イエジ−・リップマン 出演:タデウシュ・ヤンツァ−/テレサ・イジェフスカ/エミ−ル・カレビッチ
★'44年、ソ連軍の進軍近しと判断したロンドンの亡命政府の指令で敢行されたワルシャワ蜂起。しかし20万もの犠牲を出す壊滅的打撃を受け、レジスタンスたちは地下水道へと逃げ込む。物語は、ほぼ全編、その地下水道の中で出口のない、あるいはあっても出られない緊迫感を持って繰り広げられる。語られる人間ドラマもさることながら、その状況こそが当時のポーランドの姿そのものの暗示であった。脚本のスタビンスキーの実体験に基づく、衝撃的な青春の物語。'57年カンヌで審査員特別賞に輝いた。<allcinema>

◎ほぼ全編が薄暗い地下水道の中の映像であるので、画面が暗く非常に見づらいシ−ンが続く。物語も地下水道並みに筋が枝分かれしているので中々難解なのだが、映像の力がリアルなので最後まで引きつけられて見てしまったのだった。地下水道の中の暗さと時に注がれる出口の光の対比が鮮やかで、しかもその光が必ずしも希望を暗示しないという苦しい矛盾に引き裂かれるレジスタンスたちの、下半身を浸す泥水の冷たさと臭さが見る者の身に迫ってくるような思いに駆られる作品であった。呑気呆亭