12月12日(木)「次郎長三国志第一部」

次郎長三国志第一部」('62・東映京都)監督・脚本:マキノ雅弘 原作:村上元三 脚本:山内鉄也 撮影:三木滋人 音楽:鈴木静一 出演:鶴田浩二/佐久間良子/山城新伍/松方弘樹/大木実/田中春男/津川雅彦/藤純子
マキノ雅弘監督が東宝の9部作に続いて再び鶴田浩二清水次郎長で映画化した“次郎長三国志”シリ−ズの第一部。清水港きっての暴れん坊・次郎長のきっぷに惚れた桶屋の鬼吉、関東綱五郎、大政そして増川仙右衛門が、次々と彼の子分になる。(ぴあ・CINEMA CLUB)

東宝の9部作の次郎長(小堀明男)に比べると、鶴田浩二の次郎長はいかにも主役という感じで格好良すぎて、茫洋とした小堀次郎長が時折見せる凄みがに欠ける憾みがある。小堀次郎長には妙に人を引きつける部分があって、それが彼の周囲に多士済々の子分たちが集まってくる所以であったのだが、鶴田次郎長は顔は良し口跡の歯切れは良しで、のっけから親分らしくて、前作に濃厚に漂っていた一家形成譚とでもいう行きつ戻りつする屈折した物語にはならないのだった。まあそれでもさすがにマキノ雅弘であって、二番煎じではあるが楽しめる作品になっている。呑気呆亭