11月5日(火)「裸足の伯爵夫人」

「裸足の伯爵夫人」('54・米)監督:ジョゼフ・L・マンキ−ウイッツ 出演:ハンフリー・ボガート/エヴァ・ガ−ドナ−/ロッサノ・ブラッツイ/エドモンド・オブライエン/ウオ−レン・スティ−ブンス/マリウス・ゴ−リンング
★舞台はマドリ−ド。偶然のことから映画出演、大スタ−になった裸足のダンサ−、マリアは、イタリアの伯爵に見そめられ結婚する。が、伯爵は性的不能者だった。やがて、彼女は不義の子を身ごもる・・・。自由奔放な女がたどる悲劇的な生涯を巧みな語り口の回想形式で描いた力作。主題歌「裸足のボレロ」は大ヒットした。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎マリアを繞る四人の男の描き方が面白い。映画監督役のボガ−トは彼女を女優として見るだけで欲望を抱かないし、金主のエドワーズ(スティ−ブンス)は権力によって彼女を従わせようとするが成功しない。南米の大金持ちブラバノ(ゴ−リンング)は金に物を言わせようとするがこれも成功しない。結局彼女を射止めたのは落魄したイタリアの伯爵だったが、彼は不能者だった。その彼女をモノにしたのは目つき鋭く虎視眈々と機会を窺っていた伯爵の若い運転手だった。彼との不義がばれて結局マリアは伯爵に男と一緒に射殺されてしまうのだが、さて、一体彼女は何を望んでいたのだろうか。恐らく自分を見出し貧しい境遇から引き上げてくれたボガ−トに抱かれたかったのだろうが、彼はマリアをスタ−にすることを欲したが、女として欲望の対象にしようとはしなかった。マリアの悲劇はボガ−トに会ったことから始まったのだ。呑気呆亭