10月15日(火)「紅の拳銃」

「紅の拳銃」('61・日活)監督:牛原陽一 原作:田村泰次郎 脚本:松浦健郎 撮影:姫田真佐久 美術:木村威夫 音楽:小杉太一郎 出演:赤木圭一郎/笹森礼子/垂水悟郎/芦田伸介/藤村有弘/白木マリ/小沢昭一
赤木圭一郎扮する青年が、殺し屋製造業の男によって、プロの殺し屋に仕立て上げられ暗黒街へ入り込んでゆく。プロの殺し屋の世界の非情さと共に、赤木圭一郎ならではの淡いロマンスが並行して描かれ、凡庸な牛原陽一監督にしては上出来の一編。トニ−が殺し屋の修業をする前半の張りつめたム−ドも悪くないが、ほのかに慕情をよせる少女に自分の正体を明かせぬもどかしさをトニ−の悲しげなまなざしで表現したラストシ−ンは忘れがたい。裕次郎や旭とは違う独特のム−ドで将来を期待された赤木圭一郎は、この作品が公開された年に21歳の若さで事故死した。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎前半の殺し屋修業の話は赤木と垂水の師弟関係と心の通い合いが中々面白かったが、その弟子である赤木が実は刑事であったということが明らかになる後半は、何やら無理にでっち上げた話のようで、余り気持ちの良いものではなかった。呑気呆亭