7月17日(水)「青年の樹」

「青年の樹」('60・日活)監督:舛田利雄 原作:石原慎太郎 脚本:山田信夫 撮影:山崎善弘 照明:藤林甲 音楽:黛敏郎 出演:石原裕次郎/芦川いづみ/宮城千賀子/笹森礼子/芦田伸介/滝沢修
★弟・裕次郎を主人公に想定して石原慎太郎が書いた同名小説を映画化。やくざの跡継ぎになるのを嫌った若者が、大学に入って同様に家業に反発する料亭の娘(芦川)と知り合う。やがて、彼女の母がパトロンの政界汚職に絡んで自殺。主人公は、汚職を暴く・・・。さまざまな経験を経て人生の痛みを知り、成長してゆく若者を裕次郎が好演。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎名手藤林甲の加わったスタッフでありながら、映像に見るべきものもなく、物語もありきたりで、こんな大甘な青春賛歌の物語をよくも慎太郎が書いたものだと呆れ返った。すっかりスタ−になってしまった裕次郎を使えば必ずヒットするだろうという見込みが、あの初期の裕次郎映画の数々の傑作をモノしたスタッフ陣から、アバンギャルドな実験精神を失わさせこうした緊張感のない駄作を作らせたのだろう。呑気呆亭