5月29日(水)「舞台恐怖症」

「舞台恐怖症」('50・米)製作・監督:アルフレッド・ヒッチコック 脚本:ホイットフィ−ルド・クック 撮影:ウイルキ−・ク−パ− 音楽:レイトン・ル−カス 出演:マレ−ネ・デイ−トリヒ/ジェ−ン・ワイマン/リチャ−ド・トッド/アリステア・シレ
★「ロ−プ」「山羊座のもとに」などで長回し技巧を試行錯誤してきたヒッチコックが、久しぶりに編集の妙味を存分に利用した作品。演劇学校の学生イヴは同級生のジョナサンを殺人事件に巻き込まれた窮地から救ってやる。スタ−のシャ−ロットの夫が何者かに殺され、その疑いがかかっているという。イヴは父親や刑事の手助けにとメイドになってシャ−ロットのもとへと乗り込む。謎解きを中心にすえ、演劇界の舞台裏、複雑な人間関係、大道具・小道具などをサスペンスの材料に取り入れた作品。フラッシュバックそのものが手掛かりになることに注目。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎同じデイ−トリヒを使いながらヒッチコックとワイルダ−(「情婦」)ではこうも違うのかと思った。ラストにどんでん返しを使うサスペンスの作り方は似ているが、「情婦」を見終えての満足感に比べると、小生意気なイブが走り回るだけのこの映画には全く満足できなかった。そもそもデイ−トリヒを使った意図が全く分からない。無理して一つだけ挙げれば、イブの父親役だけが人間的な厚みを造形されていて見応えがあったことぐらいであった。呑気呆亭