4月30日(火)「女相続人」

「女相続人」('49・米)製作・監督:ウイリアム・ワイラ− 原作:ヘンリ−・ジェ−ムズ 脚本:オ−ガスタ・ゲッツ 撮影:レオ・ト−バ−
出演:オリビア・デ・ハヴィランド/モンゴメリー・クリフト/ラルフ・リチャ−ドソン
★ジェ−ムズの中編小説「ワシントン広場」を名匠ワイラ−が映画化。19世紀なかば。富豪の医者の娘キャサリン(ハヴィランド)は、死んだ母に似ず、器量が悪く内向的。そんな彼女を父親は今ひとつ愛せない。ある日、従姉妹の婚約パ−ティに出席した彼女は、青年モリス(クリフト)と出会い、熱烈な恋におちた。ところが父親は、彼が定職もない貧乏青年であることを理由に結婚を許さない。彼女は駆け落ちを決意するが、約束の時間に彼は現れなかった・・・。
財産をめぐる父と娘の、男と女の愛憎ドラマを、シリアスに格調高く描いたワイラ−傑作。ラスト、自分をことごとく裏切った父と男への復讐を遂げた時、キャサリンの顔に現れる毅然とした美しさが印象的だ。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎エロ−ル・フリンと数々の映画で共演したあの輝くような美貌のハヴィランドなのかこれが、と衝撃を受け、その色黒で内気な彼女に恋が生まれて、見る者が願うのは恋の成就と「灰かぶり姫」の変貌ではないか。それを殊更に裏切ってワイラ−は絢爛たる映画技法を駆使してびた銭沙汰のドラマを作った。何のためにこんな後味の悪い映画を作ったのか。映画にゲ−ジュツを持ち込むのは止めてほしいものだ。呑気呆亭