4月13日(土)「俺は待ってるぜ」

俺は待ってるぜ」('57・日活)監督:蔵原惟繕 脚本:石原慎太郎 撮影:高村倉太郎 照明:大西美津男 美術:松山崇 音楽:佐藤勝 出演:石原裕次郎/北原三枝/二谷英明/小杉勇/杉浦直樹
石原裕次郎主演のアクション作品。裕次郎の実兄である石原慎太郎がオリジナル脚本を執筆し、蔵原惟繕がメガホンをとった。裕次郎は本作と次作の「嵐を呼ぶ男」で大ブレイクを果たした。
元ボクサーの島木穣次は喧嘩で誤って人を殺してしまったためボクシングをやめてしまい、今は「リーフ」という小さなレストランのマスターをしている。ある夜、彼は港で早枝子という歌手と出会う。彼女は波止場の顔役である柴田の弟に言い寄られ、花瓶で頭を殴ってしまったという。穣次はブラジルへ行った兄からの連絡を待っていたが、いつまで経っても音沙汰がない。実は穣次の兄はブラジルへは行っておらず、一年前に波止場で何者かに殺されていたのだった。
<allcinema>

◎'58年の「赤い波止場」を久し振りに見て、波止場の岸壁に膝を折って座る北原三枝の頬に、岸壁に打ち寄せる波の照り返しが映ってたゆたうシ−ンを発見して、遅ればせながらこの映画を創ったスタッフの前衛性に驚愕したのだった。この「俺は待ってるぜ」にしても映画史での評価は低いが、この時期の日活撮影所に蝟集した映画人たちの、日本映画の境界を飛び越えて恐らくはフランス映画の牙城に迫ろうとした心意気が、裕次郎という個性を得てこの時期の数々の傑作無国籍映画を創造したのであろうと思った。そうして軽薄にも「日活ム−ドアクション」などと名付けられて一括りにされたこの時期の作品を見直す課程で、藤林甲という伝説の照明技師の存在に突き当たったのだった。呑気呆亭