2月13日(水)「新諸国物語・妖術の闘争」

「新諸国物語・妖術の闘争」('54・東映京都)監督:萩原遼 原作:北村寿夫 脚本:小川正 撮影:三木滋人 音楽:福田蘭童 出演:大友柳太郎/月形龍之介/中村錦之助/東千代之介/高千穂ひづる/田代百合子/千石規子
応仁の乱のあとのこと、丹波国満月城々主・修理亮のふたりの息子は、明国に留学し、兄の萩丸(千代之介)は武芸を、弟の菊丸(錦之助)は面作りを学ぶ。また、弟は笛吹童子と呼ばれる笛の名人であった。


◎第二部は「妖術の闘争」、黒髪山の妖術師堤婆(だいば)を千石規子が演ずる。これが可愛いお婆さんであまり怖くないのが可笑しい。その堤婆が都から拉致してきて娘分として育てているのが魔女見習いの胡蝶尼(ひづる)であり、その胡蝶尼はやはり子供の頃に都から拉致されて妖術使いにされた霧の小次郎(柳之介)の実の妹で、京都の将軍の子弟であるとが明らかにされる。話はこの兄妹の数奇な運命を廻って繰り広げられるのだった。第一部にも書いたことだが、胡蝶尼を演じた高千穂ひづるの愛らしさがなんとも言えない。堤婆の魔術で古井戸に閉じ込められている隼人をその美しい黒髪を揺らしながら♪出てこい出てこい上ってこい♪と歌うように呪文を唱えて誘い出すシ−ンの良さといったらなかった。呑気呆亭