11月10日(土)「シ−ホ−ク」

「シ−ホ−ク」('40・米)監督:マイケル・カ−チス 脚本:セント・I・ミラ−/ハワ−ド・コッチ 撮影:ソル・ポリト 音楽:エリック・ウォルフガング・コンゴ−ルド 出演:エロ−ル・フリン/フロ−ラ・ロブソン/クロ−ド・レインズ/ブレンダ・マ−シャル/ヘンリ−・ダニエル
★「カサブランカ」のカ−チス監督による海洋アクション。イギリスの利益を守るため、女王陛下公認の海賊が大暴れする。フリンは快活なヒ−ロ−に扮して、'30年から'50年代までハリウッドで人気を集めた美男の剣劇スタ−だった。海賊はフリンのはまり役だった。

◎マイケル・カ−チス監督は'38年の「汚れた顔の天使」のラストで印象的な影絵の使い方をしたが、この映画でもラストのソ−プ船長(フリン)と裏切り者の大臣ウルフィンガム卿(ダニエル)のこれは映画史に永遠に語りつがれるであろう剣戟シ−ンで、照明を巧みに使って延び縮み躍動する影絵を駆使して、二人の剣士の城の大臣室から階段を経て大広間での決着に至る、手に汗握る決闘のシ−クエンスにわくわくする面白さを付け加えた。今一つこの映画を単なる類型的な冒険活劇に終わらせなかった要因は、女王エリザベスを演じたフロ−ラ・ロブソンの重厚感と軽さを合わせ持った存在感である。決して美人とは言えないが、フリンのペットである小猿が彼女の腕の中に飛び込んで来た時に見せた微笑みは、フリンならずともこのヒトのために命を賭けても惜しくないと思わせる魅力を放っていたのだった。もちろん、ブレンダ・マ−シャルの美しさは言わずもがなではあるのだが。呑気呆亭