11月9日(金)「西部の男」

西部の男」('40・米)監督:ウイリアム・ワイラ− 撮影:グレッグ・ト−ランド 音楽:ディミトリオ・ティオムキン 出演:ゲ−リ−・クパ−/ウオルタ−・ブレナン/リリアン・ボンド
★1880年代のテキサス、移民と在来地主との争いは絶えず、判事でなおかつ牧場主でもあったロイ・ビーン(W・ブレナン)は強引なやり口で新興農民を退けようとし、仕返しに危うくリンチされかかる所を、流れ者のコール(クーパー)の仲裁で助けられた。お蔭でその年は豊作となったが、感謝祭の日、判事は焼き打をかけ、怒ったコールは、副保安官となって判事と対決する。ビーンが単なる悪徳判事でないのは、ポール・ニューマン主演の同名映画でも明らかだが、ここでも、憧れの女優リリー・ラングトリーを町に呼び、席を買い占めて嬉々として開演を待つ姿は、どうにも憎めない。ワルだけど愛すべき男なのだ。そんなブレナンにさしものクーパーも完全に喰われ、オスカー助演賞も当然。全体に正攻法の西部劇だが最後の劇場シークエンスは、ワイラー本来の緊密な演出が冴え、実に面白い。<allcinema>

◎これはもうウオルタ−・ブレナンの映画である。柵を破って農地に入りこんできた牛と牧童たちに対抗して過って牛を殺した農夫を、容赦なく縛り首にするという極悪非道の判事(恐らくは法的根拠を持たない)でありながら、リリ−・ラングトリ−という女優に対する憧憬の念を持ち続けているという、二面性を持つある意味愛すべきキャラクタ−を好演している。その二面性の男とかなりトボケたキャラクタ−設定の流れ者コ−ル(ク−パ−)との、リリ−・ラングトリ−を廻っての命を賭けた駆け引きが、ブレナンのコミカルな個性がク−パ−にも伝染しいて面白い。ラストの劇場のシ−クエンスはアメリカ映画に特有のユ−モアが横溢していて好ましいラストであった。呑気呆亭