10月11日(木)「マルクス兄弟 珍サ−カス」

マルクス兄弟 珍サ−カス」('39・米)製作:マ−ビン・ルロイ 監督:エドワ−ド・バゼル 脚本:ア−ビング・プレッチャ− 出演:グル−チョ・マルクス/チコ・マルクス/ハ−ポ・マルクス
★サーカス巡業の移動列車内でそれぞれ披露してくれる、チコのピアノでの『ビア樽ポルカ』(後年の『マルクス捕物帖』<1946>でも、再び演奏を披露)、そしてグルーチョが歌い踊る『刺青の女リディア』が、とても愉しい♪ ハーポも、ちょうど折り返し地点での動物園のシーンで、黒人ジャズコーラスをバックに『ブルー・ムーン』を、十八番のハープで披露。
ところで、『マルクス一番乗り』でもそうでしたが、何故かハーポの演奏シーンは、人種を超越しているような演出がなされていた感じ。まだまだ人種差別が公然と行われていた時代のアメリカ映画だけに、余計に印象的でした。(銀幕上では)いかなる言語でも一言も言葉を話さなかったハーポを、象徴しているようです。
マルクス兄弟をMGMに招いたプロデューサー、アーヴィング・サルバーグを失った後、惰性で作られたと言われる、いわゆる「くたびれた三部作」ながら、なかなかどうして粒揃いの音楽を披露する、グルーチョ、ハーポ、チコ。戦後の日本の、クレイジーキャッツドリフターズもそうであったように、音楽をルーツに持つマルクス兄弟の実力は、さすがです。〈allcinema〉 

マルクス兄弟がMGMに移籍しての「オペラは踊る」「一番乗り」に続く第三作。監督がサム・ウッドからエドワ−ド・バゼルに変っている。趣向は前二作と似たり寄ったりのお助けモノだが、今回はサ−カスが舞台なだけに様々な趣向が盛り沢山である。珍しいのはグル−チョが『刺青の女リディア』を歌い踊るシ−ンがあることで、前二作ではチコのピアノとハ−ポのハ−プの演奏が見られたが、グル−チョの歌と踊りは初めての披露であった。ギャグは色々工夫されていたが筋書きがご都合主義なので、前二作ほどの感銘もショックも受けることはなかった。これはやはり演出者の腕の違いによるのであろうか。呑気呆亭