10月10日(水)「ニノチカ」

ニノチカ」('39・米)監督:エルンスト・ルビッチ 脚本:ビリ−・ワイルダ−他 出演:グレタ・ガルボ/メルビン・ダグラス/アイナ・クレア−/ベラ・ルゴシ
★30年代を代表する大女優グレタ・ガルボが、それまでのシリアスな役から一転、ソフィスティケイテッド・コメディに挑んだ話題作。革命後のロシアから花の都パリへ、三人の役人がやってきた。彼らの使命は、貴族から没収した宝石を売り払うことにある。それを知った亡命婦人は、恋人(ダグラス)に命じて、三人に取り入らせる。不信をいだいたロシア政府は、ニノチカという名の女闘士(ガルボ)を派遣した。コチコチの共産主義者である彼女は、亡命婦人の恋人の魅力にも懐柔されないかに思えたが……。共産主義のかかえる人間性の問題を笑い飛ばした、ルビッチのロマンチック・コメディ。<allcinema>

◎脚本はルビッチに師事したワイルダ−。ニノチカ(ガルボ)とレオン(ダグラス)の出会いはひっきりなしに車の行き交うパリの安全地帯と言う離れ島。言えば東側(共産主義)と西側(資本主義)の間に置かれたノ−マンズ・ランドという設定で始まる奇妙な恋物語ニノチカの表情、感情を押し殺した仮面のニノチカ、レオンの小咄にピクリとも眉を動かさぬニノチカ、爆笑するニノチカ、横眼を使って“しゃべり過ぎよ”とキスを促すニノチカ、妙な帽子を被って鏡を見るニノチカ、はにかむニノチカ、恋するニノチカ、憤るニノチカ、決断するニノチカ、抜け殻のニノチカ、呆れるニノチカ。まさにこれはニノチカガルボのための映画である。呑気呆亭