6月26日(火)「サ−カス」

「サ−カス」('28・米)監督・脚本:チャ−ルズ・チャップリン 出演:チャ−ルズ・チャップリン/マ−ナ・ケネディ/ハリ−・クロッカ−
★「黄金狂時代」と「街の灯」という2大傑作の間で忘れられがちな作品だが、面白さは保証付き。サ−カスに紛れ込んだおなじみの浮浪者チャ−リが、曲馬乗りの少女に恋をして、綱渡りをするヘメに陥る。チャップリンの綱渡りの至芸、そしてラストの詩情。(ぴあ・CINEMA CLUB)

チャップリン初期の作品(「寄席見物」など)に見うけられるチャップリンの反骨精神が、「街の灯」などになるとかなりその激しさを減ずるのだが、この作品のチャップリンはまさにハチャメチャな活躍をする。そのハチャメチャぶりが怪我の功名といった感じでサ−カスの観客に受けて人気者になるのだが、曲馬乗りの少女に好かれていると知った時のチャリ−の、当るを幸い蹴っ飛ばしまくる弾け方が何とも可笑しい。この右も左も蹴っ飛ばすチャ−リを見ていると、ああ、チャップリンという人が根底に秘しているモノはアナ−キ−な思想なのだろうなと思ったことであった。ラストのシ−ンはそれを裏書きするようなグワンと來る終わり方である。呑気呆亭