5月18日(金)「駅馬車」

駅馬車」('39・米)監督:ジョン・フォ−ド 出演:ジョン・ウエイン/クレア・トレヴァ/ト−マス・ミッチェル/ジョン・キャラダイン
★9人の乗客を乗せた駅馬車アリゾナからニュ−メキシコまでひた走る。映画は、乗客の様々なエピソ−ドを盛り込みながら、インディアンの襲撃、そしてクライマックスの脱獄囚キッドと3人の無法者との対決まで息をもつかせず描破する。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎言わずと知れた西部劇の傑作、というよりアメリカ映画の古典である。映画評論家の故淀川長冶さんはこの映画を60回観たと伝えられる。ワタクシもこれで何度目になるだろうか。良い映画というものは何度見ても新しい発見が有るものだが、そのことをこの映画によって教わったのである。
今回の発見は、駅馬車の乗継所のシ−ンで、夜、インディアン女の乗継所のカミサンが意味ありげなスペイン語の歌を唄うのだが、もしスペイン語を解する者がこれを聞けば、これが、この女と乗継所の雇人たちのその後の行動(逃亡)を示唆する歌であることが分かったのではないだろうか?
それにしても見事な作品である。出だしの「ジェロニモ!」という不吉な音声からサスペンスを畳みかけて行く手法、駅馬車に乗り合せる様々な人生を背負ったキャラクタ−の組み合わせの妙、前衛的とも思える映像処理、そして、ラストの爽やかな締めくくり方。監督・脚本・撮影・音楽・俳優が混然一体となって成し遂げた傑作である。呑気呆亭