6月24日(水)「ノスフェラトゥ」

ノスフェラトゥ」('79・西独)製作・監督・脚本:ヴェルナ−・ヘルツオ−ク 脚本:F・W・ムルナウ 撮影:ヨルク・シュミット・ライドバイン 音楽:ポポル・ヴ−他 出演:クラウス・キンスキ-/イザベル・アジャ−ニ/ブル−ノ・ガンツ/ロ−ランド・トパ−/ワルタ−・ラ−デンガスト
★ドイツ映画の古典であり、ドラキュラ映画の元祖であるF・W・ムルナウの「吸血鬼ノスフェラトゥ」(22)を、重厚な作風で知られるW・ヘルツォークがリメイクした作品。映画祭で上映された後、一般劇場公開はオクラ入り、その間にTVでは放映され、'85年になってようやく劇場公開されたが、その真意は興行的な問題だけであり、作品のクオリティに依るものでない事はまぎれもない事実。透明感をたたえた映像と怪奇ムードが合わさって何とも言えない雰囲気を醸し出しており、ペスト禍によって絶滅した村の描写などその最たるものである。吸血鬼の哀感を見せるキンスキーの表情とアジャーニの美貌も、作品の深みに多大な貢献を果たしている。
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◎'31年の「魔人ドラキュラ」に比べると話がご都合主義で、キンスキ−は確かに怖いしアジャ−ニも美しいが、ドラキュラ伯爵が間抜けにもわざわざ船を調達して棺桶に収まり、引っ越し先を探しに行くなどという筋立ては、原作に有るのかどうか知らぬが噴飯物である。呑気呆亭