11月11日(火)「最も危険な遊戯」

「最も危険な遊戯」('78・東映)監督:村川透 脚本:永原秀一 撮影:仙元誠三 音楽:大野雄二 出演:松田優作/田坂圭子/荒木一郎/内田朝雄/草野大悟
★財界の大物たちが誘拐されるという事件を連日のように報道する新聞やテレビ。そんなある日、業界でも最大手の東日電機社長・南条が誘拐された。会長の小白河は南条救出を5千万円の謝礼で殺し屋・鳴海昌平(松田)に依頼する。敵のアジトに乗り込み、みごと救出に成功するかに思えた時、何者かによって南条は射殺される・・・。防衛庁をはじめとする国家権力に孤独な挑戦を試みる殺し屋の姿を、ラヴシ−ンやカ−アクションを織りまぜながらハ−ドボイルドタッチで描いている。日活アクション映画の流れをくみ、一時代を築いた村川=松田コンビの出世作。仙元誠三による、殺戮シ−ンの長回し撮影と、松田優作のアクションが見どころ。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎“遊戯”シリ−ズ三部作の中ではやはりこの第1作が面白い。冒頭の雀荘でのシ−ンから優作節とでも言いたいコミカルな味が横溢していて、ワクワクさせられる。ダメ男とク−ルな殺し屋との意想外の対比がこのシリ−ズの見どころなのだが、仕事の依頼を受けると一転ストイックなまでの鍛錬を己に課して肉体を鍛え上げる鳴海昌平、銃器を手にするときのマニアックな手付きがワタクシのようなガンマニアをなんとも痺れさせる。優作の映画では相手役の女優さんが今一なのだが、本作の田坂圭子(新人)はオッパイは小ぶりだがなかなかの美しい肉体を見せてくれて有り難かった。しかし、この作品を真に面白くしてくれたのは無口な桂木刑事役を演じた荒木一郎の不気味な存在感であった。ラストの銃撃戦で田坂圭子を盾にした桂木が鳴海の胸を打ち抜くシ−ンでは“ヤラレタ!?”と思ったのだが、なんと「荒野の用心棒」をパクッた仕掛けで逆転したりして、殺し屋鳴海はとても太刀打ちできぬと思われた桂木刑事を倒すことが出来たのだった。呑気呆亭