2月22日(土)「昼下りの情事」

「昼下りの情事」('57・米)製作・監督・脚本:ビリ−・ワイルダ− 原作:クロ−ド・アネ 脚本:I・A・L・ダイヤモンド 撮影:ウイリアム・C・メラ− 音楽:フランツ・ワックスマン 出演:ゲイリ−・ク−パ−/オ−ドリ−・ヘップバ−ン/モ−リス・シュバリエ
★パリ、コンセルバトワ−ルでチェロを学んでいるアリア−ヌは、私立探偵である父の調査記録にたびたび登場する男フラナガンに恋をし、知り合うことに成功。苦心の演出を重ねて、やがて世界的プレイボ−イ、フラナガンの心を虜にしてしまう。思いあまったフラナガンはなんとか娘の正体をつかもうと私立探偵のもとへ走るが・・・。G・ク−パ−初の海外ロケ作品で、パリのム−ドは満点。ジプシ−楽団の演奏する昔の曲「ファッシネ−ション」がテ−マ曲のように使われていて素晴らしい効果を上げている。C・アネの原作「アリア−ネ」は、すでに戦前ドイツで映画化されたことがあり、ワイルダ−の本作はリメイク作となる。A・ヘップバ−ンの初々しい愛らしさと、おシャレなコスチュ−ムで展開されるファッションが女性たちの心をおおいに刺激、彼女のファン層をグッと広げた。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎いくら何でもこのフラナガン(ク−パ−)とアリア−ヌ(ヘップバ−ン)の年の差は無理があるでしょう。ほとんど犯罪的であるといってもいい。その無理を救ってくれたのがフラナガン御用達のジプシ−楽団である。彼ら全員がアリア−ヌの愛らしさに恋をし、彼女に捧げるかのように奏でる楽曲が「ファッシネ−ション=魅惑」。アリア−ヌの謎めいた魅惑に心を惑わせて、酒に溺れたフラナガンと楽団の連中が酒瓶の乗ったトレ―をやり取りするシ−ンの可笑しさ。ボ−トの二人を追って同じくボ−トに乗って危なっかしい格好で演奏する彼ら。その彼らの職業を超えた誠実さが胸に迫って感動を呼ぶ。アリア−ヌの父親で私立探偵役のモ−リス・シュバリエの冷静な対応とこのジプシ−楽団の人を食った面白さあってこその、一向にプレイボ−イらしくない中年男と頭でっかちで何とも愛らしい娘の恋物語であった。呑気呆亭