7月2日(火)「独立愚連隊西へ」

「独立愚連隊西へ」('60・東宝)監督・脚本:岡本喜八 原作:蓮本修 脚本:関沢新一 撮影:逢沢譲 音楽:佐藤勝 出演:加山雄三/佐藤允/堺左千夫/大木正司/中山豊/江原達治/中谷一郎/平田昭彦/久保明/フランキー堺/水野久美/横山道代
岡本喜八の名を一気に高めた出世作“独立愚連隊”ものの第2弾。西部劇フアンの岡本監督は、それまでの戦争映画とまったく違い、中国大陸での戦争を西部劇タッチのアクション・コメディとして描いているが、その底流には「肉弾」などに通じる戦争悪、戦争の愚劣さへの痛罵が流れている。北支戦線、消えた軍旗の捜索のため、危険な戦線ばかり転戦している独立左文字小隊が派遣された。日本軍から厄介者扱いされている彼らの活躍で、無事軍旗は戻るが、その時敵の八路軍に周囲を囲まれていた・・・。ラストの日本軍と中国軍が戦争をしたフリをして無傷で別れるという男の友情には、第1作をしのぐ感動がある。

◎♪イ−リャンサンス−、イ−リャンサンス−、イ−リャンイ−リャン、ヤイヤイヤイヤイ、今度は何処だ−、西だ東だ南だ北だ−、何処へ行っても鼻つまみ・・・♪の軽快な音楽と共に霧の中から原野を駆ける兵隊の一団が現れる。その一団を追う八路軍の兵士。何だかワクワクするような思いで画面に引き込まれて行った記憶がある。封切りで見たのは15歳の時だった。日本にもこんなカッコいい映画が出来るのかと驚いたのだった。走り疲れてへたばって休戦を申し込む八路軍の梁隊長はフランキー堺、受ける独立愚連隊の隊長は左文字少尉・加山雄三、通訳は副隊長の戸川軍曹・佐藤允。ホントかどうか分からぬ中国語が飛び交って休戦成立。この時にお互いを認め合ったことが、ラストの痛快な「武人の別れ」に繋がって行く。
中谷一郎演ずるピ−屋の早川、ソロバン占いの神谷一等兵(堺)、その神谷の相棒青山上等兵(大木?)、ピ−屋の女(横山)たち、いずれもカラッと明るく描かれていて好ましい。無論、戦争は悲惨で愚劣なものだが、その悲惨で愚劣な状況を生きるニンゲンたちはそれでも人間的であり得るんだぜ、と喜八っつあんは言いたかったのだろう。呑気呆亭