9月19日(金)「子連れ狼・子を貸し腕貸しつかまつる」

子連れ狼・子を貸し腕貸しつかまつる」('71・大映)監督:三隅研次 原作・脚本:小池一雄 原作:小島剛夕 撮影:牧浦地志 音楽:桜井英顕 美術:内藤昭 出演:若山富三郎/富川晶宏/藤田佳子/伊藤雄之助/渡辺文雄/露口茂/真山知子/内田朝雄
★「子連れ狼」シリーズ第1作ということで、公儀介錯人であった拝一刀が、なぜ柳生一族と対立しているのか、その背景が描かれている。この展開は少々まどろっこしいが、1作目だから仕方がない。
 柳生一族により妻を殺された一刀が、大五郎と共に冥府魔道を歩む決心をするのだが、父と共に行くか、母の後を追って黄泉の国へ行くか、その決断を一刀は幼い大五郎に委ねる。何も知らない赤ちゃん大五郎にも、拝一族の血が流れていることが窺い知れるのだ。ここは名場面だ。
 これで一刀と大五郎の運命は決まった。柳生一族への恨みを胸に、刺客人として生きてゆくという。と、ここまでが前半。後半は、殺しの依頼を受けた一刀が、世継暗殺を計画している一味を叩き斬るのだが、湯治場で繰り広げられる殺陣がこれまたすさまじい! 腕が飛び、足が切れる! 容赦のないスプラッターが時代劇で見られます。
 一刀と対決する柳生蔵人を演じた露口茂(山さん!)が、アッサリと斬首されてしまう! 列堂を演じた伊藤雄之助の「何を言っているのか分からない」台詞回し、ありゃチトやり過ぎかもね。ともあれ、ストイックな一刀を演じたトミーがとにかくカッコいいので痺れます。 
 なるほど、「キル・ビル」の元ネタのひとつだろう。青葉屋の死闘との類似シーンがいくつか確認できる。鎖鎌を持った男との戦いとかね。
<allcinema=ASH>

若山富三郎の剣捌きが素晴らしい。特に座ったままの体勢での居合いには驚いた。抜刀もだがその納刀の見事なこと。拝一刀のキャラクタ−は萬屋錦之介の方が似合いだが、剣捌きは若山が優る。大五郎はこちらの富川晶宏クンの方が合っている。我々リアルタイムで漫画の『子連れ狼』に熱狂させられた世代としては、実はどんな映画化・テレビ映画化がされようとも原作の凄さに及ぶ訳がないとあらかじめ観念しているので、これはこれとして楽しめたのであった。ところで、この作品は録画しておいたので見られたのだが、第二作以降のものを見たいと思って市場を探ってみたら、VHS化されてはいたようだがDVDは出ていないとのことだった。友人にそのことを話したところ、アメリカには「子連れ狼」の熱狂的なファン(タランティ−ノたちか?)がいて、彼らの尽力で全作がBD化され日本でも買うことが出来ると聞き、さっそく取り寄せた(一ヶ月くらいかかったが)のだった.チャンバラシ−ンに英字の字幕が出るのも面白く、何より映像が鮮明でスプラッタ−・シ−ンでは思わず身をのけ反らすほど(笑)でありました。オススメです。呑気呆亭