1月10日(木)「心の旅路」

「心の旅路」('42・米)監督:マ−ビン・ルロイ 原作:ジェ−ムズ・ヒルトン 脚本:クロ−ディン・ウェスト/ジョ−ジ・フロ−シェル/ア−サ−・ウインペリス 撮影:ジョゼフ・ルッテンバ−グ 音楽:ハ−バ−ト・ストサ−ト 出演:ロナルド・コ−ルマン/グリア・ガ−スン/フィリップ・ゴ−ドン
★「哀愁」で映画ファンの涙を誘った名匠ルロイの手によるメロドラマ。第一次世界大戦下、記憶喪失症に陥った男と、その男を愛してしまったショ−ガ−ルとの恋物語。運命の糸にもてあそばれながらも、幸福の鍵を見失わない男女を情感豊かに描いている。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎記憶喪失症というテ−マをこれほど見事にドラマ化したのは、原作もさることながら脚本執筆陣の力によるものか。記憶喪失した男(コ−ルマン)を保護したショ−ガ−ル(ガ−スン)が男と仕合せな家庭を持ち一児をもうけながら、突然夫の失踪という事態に直面する。夫を失い愛児を喪うというこれ以上はないという悲劇にめげることなく、生活を立て直すべく秘書の仕事を学んだロ−ラ(ガ−スン)は、記憶を取り戻して実業家として成功した男の秘書の募集に応じて男の有能な秘書となる…。
男の秘書となってからのロ−ラの、宮城谷昌光氏がよく使われる「胆知」ともいうべき振る舞いが見事であり、そのロ−ラの心の揺れをグリア・ガ−スンは繊細にまた完璧に演じたのだった。呑気呆亭