1月9日(水)「打撃王」

「打撃王」('42・米)監督:サム・ウッド 原作:ポ−ル・ギャリコ 出演:ゲイリ−・ク−パ−/ウォルタ−・ブレナン/テレサ・ライト
アメリカ野球界で連続出場2130回を記録した不世出のホ−ムラン・バッタ−、ル−・ゲ−リックの半生を描いた伝記映画。P・ギャリコの原作を元に、巨匠ウッドが演出にあたった。ゲ−リックの青年時代から彼が小児マヒによって引退していくまでの姿を、素直に好感をもって描いていく。主役を演じたク−パ−は、ゲ−リックのキャラクタ−をとおして、「ヨ−ク軍曹」「誰がために鐘は鳴る」といった諸作品に通じる、普遍的なアメリカ人像をここの体現。ハリウッドでのちに監督に転向した、名カメラマン、ルドルフ・マテの秀逸な映像が映画の風格を盛り上げる。当時の名選手もゲスト出演する野球映画の佳作。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎ク−パ−とブレナンのコンビにテレサ・ライトが加わってアット・ホ−ムな作品になっている。驚くのは前年の「群衆」で失業中のピッチャ−を演じたク−パ−は右投げの投手であったと記憶しているが、この映画では左投げ左打ちのゲ−リッグをほぼ完璧に演じていることである。送球ホ−ムを見ると、「群衆」でのク−パ−の投げ方はぎごちないモノであったから、本来ク−パ−は左利きだったのではないだろうか。しかし西部劇のク−パ−は拳銃を右手で扱っているので、あるいは両利きだったのか。もっとも拳銃の操作は練習すれば上手くなるが、投球ホ−ムはそうはいかないのは、左利きのワタクシにはよく分る。呑気呆亭